iPhoneのバッテリーとバッテリーリフレッシュの効果について。【かなり長文です】リチウムイオンバッテリーは復活しませんがiPhoneのバッテリーのバグは取れるのかもしれません。

最近インキューブ天神店にご来店いただいたお客さまから、こんなことを言われました。
「ネットで見たのですが、iPhoneのバッテリーはバッテリーリフレッシュという方法で復活するのですか?」と。
以前から都市伝説レベルで言われていることですが、これで改善したという方もいらっしゃるようです。

バッテリーの仕組み上、これでバッテリーそのものが改善するとは思えないのに、なぜこんなことがあるのでしょう。

そもそもバッテリーリフレッシュとは?

リフレッシュ

バッテリーリフレッシュとは、2次電池に現れるメモリー効果をリセットするための方法です。
2次電池とは繰り返し充電して使うことができる電池で、iPhoneのバッテリーもも2次電池なのですが、リチウムイオン電池にメモリー効果はありません。

このバッテリーのメモリー効果ですが、鉛蓄電池やニッケル水素電池に存在します。
例えば、バッテリー切れが心配ということで、毎回50%程度のところで充電を開始していると、電池の中に50%地点が0になったという勘違いが発生するのです。そういう状態がメモリー効果と言われる状態ですね。

これを改善するためにバッテリーリフレッシュという方法が存在します。

それでは、なぜ鉛電池ニッケル水素電池では電池が急激に劣化した場合、リフレッシュ方法(復活方法)というものが存在するのでしょうか?

 

鉛電池にリフレッシュ方法が存在する理由としては、鉛電池の構成材料である電解液に硫酸水溶液(H2SO4)を使用していることが挙げられます。

 

鉛バッテリーにおいて充電や放電の繰り返しを行うと、この電解液の硫酸水溶液中の硫黄成分(S)が電極表面で析出する「サルフェーション」という現象が起こります。

 

サルフェーションが起こると電極での反応がスムーズにいかなくなるために、バッテリーの内部抵抗が上がり、電池の性能劣化が起こります。

 

ただ、サルフェーションという現象は外部から強いエネルギーを瞬間的に加えることで、取り除くことができます。

 

そのため、鉛電池では復活方法というものが存在し、具体的にはサルフェーションを取り除くためのパルス充電と呼ばれる、瞬間的に外部から大きなエネルギーをかける方法によるリフレッシュさせることができます。

 

つまり、電池が一度劣化しても回復することができるといえます

 

ニッケル水素電池においては、鉛電池のような化学的な反応が起きて、劣化するのではなく、メモリー効果と呼ばれるあるところで充電を止めることを繰り返すとその充電率(SOC)付近のみにおいて、作動電圧が低下するという現象が起こります。

 

つまり、ニッケル水素電池におけるリフレッシュ(復活)方法としてはメモリー効果の悪影響を取り除くことであり、一度完全に放電しきってから、満充電まで充電するということを行うだけでこの影響を少なく、バッテリーを復活させることができます。

 

リチウムイオン電池ではメモリー効果の影響が少ないために復活方法が無いともいえます。

 

各々の電池にあったリフレッシュ方法やリチウムイオン電池のような復活しにくい電池ではより大事に扱うようにしましょう。

https://kenkou888.com/category18/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E9%9B%BB%E6%B1%A0_%E3%83%AA%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5.html

電池の専門的なサイトでもこのように書かれています。
難しいことは横に置くとして、単純にリチウムイオン電池にメモリー効果は存在しないのだからバッテリーリフレッシュをやっても意味がないということになります。

なぜiPhoneの弱ったバッテリーはバッテリーリフレッシュで改善するという説がなくならないのか

筆者はネットワーク系システムエンジニアが本業というか出自なのですが、フリーランスになってからは個人法人問わずでパソコンのサポートもやっておりました。そして、それからiPhone修理屋さんになったのですが、その中でお客様が遭遇した症状が筆者の前では出ないことがあるのです。

筆者の目の前で再現しないからと言ってお客様が嘘を言うために時間を使って店頭までご来店されたとは思いません。お客さまの目の前で実際に何かが起こっているのです。

という考え方をベースにすると、一定数の方がネットや知識の低い専門家風の方から「iPhoneの弱ったバッテリーはバッテリーリフレッシュをするといいよ」というアドバイスを受けて試しているということが想像できます。
そして、それが一定の効果を上げているのではないかと。

なぜあり得ないはずのバッテリーリフレッシュが効果を上げるのか

iPhoneのバッテリーは単なる電気の入れ物ではなく、基板が入っておりICチップなどで制御されています。

バッテリー基板

このiPhoneのバッテリーについている基板で色々なことが行われています。
筆者は機械系のエンジニアではないので、ここからは推測が多分に混ざる話にはなりますが、自分なりに整合性のある内容かなとは思っています。

下の画像は専用のソフトでiPhonenバッテリーの状態をモニターしたものです。

専用ソフトでのバッテリーチェック

ここに出てくる情報はiPhoneのバッテリーAPPより詳しい内容になっています。
そして、iPhoneで表示される内容は、これよりパフォーマンスが良い状態で表現されています。
電池効果的最大充電の箇所が75.8%となっていますが、バッテリーAPPでは80%程度と表示されます。

この差と過去、Appleがシステムに組み込んでいたバッテリーが劣化してくるとiPhoneのパフォーマンスを落としてバッテリーを長持ちさせるということと関連があるように思います。
iPhoneがバッテリーをうまく管理して使うと、まだ80%程度のスペックがあるよと。

つまり、この専用のソフトで表示されているのはiPhoneに内蔵されているバッテリーの生データで、それを読み出しているものだと考えられます。
ちなみにMacでは、これと同じレベルでバッテリーを表示する仕組みが純正で入っています。

前置きが長くなりましたが、このバッテリーを管理している基板が何らかの原因でバグを出してしまい、それをリセットするのがバッテリーリフレッシュの正体ではないかという推測です。

本来のバッテリーリフレッシュとiPhoneのバッテリーリフレッシュ

本来の意味のバッテリーリフレッシュ

鉛電池はニッケル水素などの2次電池のメモリー効果を解除するのが目的の方法です。
つまり、現在100%使えるはずの能力があるのに、普段の使い方がバッテリーに悪影響を与えて能力の一部に蓋をした状態になっていたのを解除して100%に戻す作業です。

iPhoneで使われているリチウムイオンバッテリーのバッテリーリフレッシュ

リチウムイオンバッテリーにメモリー交換は存在しません。
つまり元来のバッテリーリフレッシュは必要ないというのが正しい説だと思いますが、バッテリーを制御している基板のことを考えると納得できる部分があります。

基板の中にも簡単なOSが入っていて機械の制御をしています。
いわゆる組み込み型のプログラムです。windowsでいうとBIOSというプログラムになります。
こいつのバグをとってあげるという考え方です。

パソコンのマザーボード(メイン基板)の調子が悪い際にCMOSクリアという方法があります。
このCMOSというのは様々な情報を格納している場所なのです。専門的になりすぎるので、ここでは割愛しますが、色んな奴らを動かす情報を握っている奴ぐらいで考えてください。

このCMOSクリアというのは中に入っているCMOS情報というのを電気を抜いてしまうことによってクリアにすることを指します。

iPhoneでも原因不明の機動不良の際にバッテリーを外して基板から電気を抜いてあげると復活することがあります。それをバッテリーの中の世界で行うのです。

具体的には、通常のバッテリーリフレッシュと前半は同じで、バッテリーの電池を完全に使い切って更に数時間放置するのです。
そうすることでバッテリー基板の中に入っている間違った情報をリセットすることでiPhoneとの通信(やりとり)が正常になり額面通りの動きをするのではないかと推測します。

iPhoneのバッテリーのリチウムイオンバッテリーは復活しません。大事に使いましょう。

上記したように、iPhoneのバッテリーのバグをとることはできるかもしれませんが、基本的にバッテリーの劣化というのは不可逆的に発生します。
つまり傷んだものは元に戻らないということです。

そして、当店ではバッテリーに関する記事をたくさん書いています。
やはりお客さまのニーズの多くはバッテリーの運用にあるのだろうと思います。

根本的な解決をするのであれば、iPhoneのバッテリー交換しかありません。
例えば、当店のバッテリー交換は5000円からとなっていて、業界の中でも特に高いということもなく、どちらかというと、少し安めの設定にしています。

天神エリアでは後発なので、諸先輩型の価格などを参考にして価格付けをしていますので、大きく変わることはありません。

この5000円という価格は売る側からすると適正な価格と思っていますが、5000円あったら飲みに行けるな。とかバーゲンで欲しかった靴が買えるやん。というような価格帯だと思います。
iPhone修理というのはマイナスを0に戻す消費行動なので、積極的にはやりたくないのもわかります。

じゃあどうするかという話ですが、答えは一つで大事に使ってあげるということです。
バッテリーに関して言えば、充電しながら長時間動画を見たりゲームをしたりすると劣化が加速します。
極端な温度も苦手です。

こういったことに気をつけながら、そこそこに使っていただくのが1番ではないかと思います。
(修理屋さん的にです。)

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