【要注意】山手線と糸島で連続発火！“古いバッテリー×酷暑”が危ない理由

バッテリーは“熱”と“劣化”にめっぽう弱い！

2025年夏、全国的に記録的な猛暑が続く中で、2件のバッテリー発火事故が発生しました。東京の山手線車内と福岡県糸島市の公共施設で、立て続けに起きた火災。その共通点は「古くなったバッテリー」と「高温環境」という2つの条件でした。

山手線の事故：リコール品のバッテリーが車内で発火

• 日時：2025年7月20日 午後4時ごろ
• 場所：JR山手線・新宿〜新大久保間の車内
• 被害：乗客5人が軽傷、運行2時間以上遅延
• 原因：30代女性が使用していたモバイルバッテリーが約30秒で発熱・発火

事故後の調査で、問題のバッテリーが過去にリコール対象（2019年〜2021年製）であり、既に16件の同様火災事故が報告されていたことが判明しました（出典：jitantech.com）。

車内は冷房が効いていたとはいえ、外気温は33℃前後。バッテリーがポケットやバッグの中で熱を持ちやすい状況でした。

糸島市の事故：災害用バッテリーが“爆発”して施設が炎上

• 日時：2025年7月29日 午前8時45分ごろ
• 場所：福岡県糸島市 加布里コミュニティセンター
• 状況：2階から爆発音とともに火災、約1時間半後に鎮火
• 原因（推定）：災害備蓄用のリチウムイオンバッテリーが充電中に爆発

この施設では、開館前の時間帯に職員が充電を行っていたとみられ、利用者や児童には被害はありませんでした。隣接する小学校にも延焼はなかったものの、「ものの2〜3分で火が強くなった」との証言もあり、非常に危険な状況だったことがわかります（出典：news.tnc.co.jp）。

共通点は「古いバッテリー」と「高温環境」

条件	山手線	糸島
使用機器	モバイルバッテリー	災害用大型バッテリー
環境	電車内（33℃）	空調前の建物内（30℃超）
バッテリー状態	リコール対象・使用年数不明	長期備蓄・経年劣化の可能性高
発火までの経過	約30秒で発熱→発火	数分で爆発→黒煙・延焼

リチウムイオン電池は、「熱が苦手」な構造になっています。特に50℃を超える環境では内部化学反応が暴走し、発火・爆発のリスクが跳ね上がります（出典：NITE製品安全センター）。さらに、経年劣化したバッテリーはセパレータの破損や電解液の劣化が進み、少しの刺激でも発火しやすくなります。

あなたの周りにもあるかも？危ないチェックリスト

1. 3年以上使っているモバイルバッテリーを常用している

→ バッテリーの寿命は2〜3年。使えても内部は劣化していることが多い。

2. 車内や直射日光が当たる場所にスマホやバッテリーを置いている

→ 直射日光下では、車内温度は60℃を超えることも（JAF実験による）

3. バッテリーが膨らんでいたり、異臭がする

→ 即使用中止。自己判断で処分せず、家電量販店や自治体の回収を利用

バッテリーは“冷やして・定期交換”が命を守る！

• 夏はバッテリーが最も壊れやすく、最も危険な季節
• 「まだ使える」ではなく「安全に使えるか」で判断を
• 古くなったバッテリーは迷わず交換しよう！

現在リコールなどが出ている製品（リチウムイオン電池搭載機器）

最新の情報（2025年7月現在）では、スマートフォンにおいて、公式に広範囲な無償交換・修理プログラム（リコールではない）が発表されているのは、以下の2つのメーカーの機種が挙げられます。

1. Google Pixel シリーズ
   • Google Pixel 6a: バッテリーの過熱問題に対する「バッテリー パフォーマンス プログラム」の一環として、無償のバッテリー交換が日本でも2025年7月22日から開始されています。
   • Google Pixel 7a: バッテリーの膨張問題に対し、無償修理（バッテリー交換）が提供されています。
2. SONY (Xperia)
   • Xperia 1 VII (一部製造ロット): 「電源が落ちる、再起動がかかる、電源が入らない」といった基板不良が原因の不具合に対し、2025年7月中に無償交換または修理対応が発表されています。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、SIMフリーモデルの一部が対象です。

現状はGoogle Pixel と Sony Xperia で、公式な無償交換・修理プログラムが進行中のスマートフォン機種がある、ということになります。iPhoneも10年ほど前にこのような無償交換プログラムはありましたが、現在は出ていないようです。

リコール

【モバイルバッテリー】

• Anker (アンカー・ジャパン株式会社)
  • Anker MagGo Power Bank（10000mAh, 7.5W, Stand）：2025年6月26日までに販売された全ての製品が対象。
  • Anker 334 MagGo Battery（PowerCore 10000）：2025年6月26日までに販売された全ての製品が対象。
  • Anker Power Bank（10000mAh, 22.5W）：2025年6月26日までに販売された全ての製品が対象。
  • Anker Power Bank（20000mAh, 22.5W, Built-In USB-C ケーブル）
  • Anker 535 Power Bank（PowerCore 20000）：2023年2月7日よりリコール。
  • （その他、過去にも複数のAnker製品でリコールが出ていますので、詳細はこちらをご確認ください: https://corp.ankerjapan.com/posts/555 および 消費者庁のリコール情報サイト）
• cheero (ティ・アール・エイ株式会社)
  • cheero Flat 10000mAh：発煙や焼損のおそれがあるため回収・返金。
• CIO (株式会社CIO)
  • SMARTCOBY Ex01 SLIM Qi2 & CABLE：発火のおそれがあるため回収・返金。
• Baseus (Shenzhen Baseus Technology Co., Ltd.)
  • Baseusマグネット式ミニワイヤレス急速充電モバイルバッテリー 2022, 6000mAh 20W‐モデル：リチウム電池がオーバーヒートし火災を起こすおそれがあるため回収・返金。
• Bigblue Tech (Bigblue Tech 株式会社)
  • X tormモバイルバッテリー：製品の膨張やPSE表示の不備のため回収・返金。
• IKEA (イケア・ジャパン株式会社)
  • VARMFRONT ヴァルムフロントモバイルバッテリー ダークブルー 10400 mAh
  • VARMFRONT ヴァルムフロントモバイルバッテリー ブルー 5200 mAh
• ノジマ (株式会社ノジマ)
  • 分離式モバイルバッテリー
• Belkin (ベルキン)
  • Belkin BoostCharge Pro Fast Wireless Charger for Apple Watch + Power Bank 10K
• エアージェイ (株式会社エアージェイ)
  • リチウム電池内蔵充電器（MB-T5000L BK、MB-T5000L WH）
• ZENDURE (株式会社ワンモア)
  • モバイルバッテリー ZENDURE SuperMini 5K

【その他のリチウムイオン電池搭載製品】

モバイルバッテリー以外にも、リチウムイオン電池を搭載した製品でリコールが出ているものがあります。

• 電動アシスト自転車用バッテリー
  • ヤマハ発動機株式会社、ブリヂストンサイクル株式会社、株式会社丸石サイクルの一部モデル（X0T/X0U型、X83型など）。詳細は各社のウェブサイトでバッテリー型番と製造ロットを確認してください。
  • パナソニック サイクルテック株式会社の一部モデル。
• ワイヤレスイヤホン
  • 株式会社オーディオテクニカ製の一部ワイヤレスイヤホン。
• ポータブル電源
  • EcoFlow Technology Japan株式会社製の一部ポータブル電源。
  • 株式会社C&C製の一部ポータブル電源。
• その他
  • 本田技研工業株式会社、デンヨー株式会社の着脱式可搬バッテリー。
  • レノボ・ジャパンのLenovo Go USB Type-C ノートブックパワーバンク20000mAh（ブラック）。
  • ロア・インターナショナルのHyperJuice 130W USB C バッテリーパック。