iPhone修理店が教える!暑い夏を乗り切るバッテリー劣化対策
iPhoneのバッテリートラブルは夏に多く発生します。
夏になると、iPhone修理店にはバッテリー起因のトラブルが多く持ち込まれます。iPhoneのバッテリーがもたなくなった。iPhoneが起動しなくなった。iPhoneが熱くなったなど。様々なiPhoneの不具合で持ち込まれるのですが、実は画面のタッチがおかしくなった。ということやiPhoneの動きが遅くなったということもバッテリー起因で発生していることが多いのです。
今回は、このようなiPhoneバッテリートラブルが起きる理由と対策について徹底解説します。
リチウムイオンバッテリーの基本
iPhoneをはじめとするスマートフォンなどで使われているバッテリーはリチウムイオン電池というものが使用されています。
このリチウムイオン電池を簡単に説明すると、昔からある乾電池のように使い切りではなく、充電して繰り返し使うことができる電池のことです。もう少し細かく説明するなら、電池内のプラス極とマイナス極の間をリチウムイオンが行き来して充電と放電を繰り返すことによって、電気を作り出しています。
充電器にiPhoneを繋いで充電状態にしている時は、マイナス極にリチウムイオンが集まります。そしてiPhoneを使っている時はマイナス極に集まっていたリチウムイオンがプラス極に移動する際に電気が発生してiPhoneなどを動かすという仕組みです。
夏場にバッテリー消耗が早くなる理由
小さくて軽く、電気をたくさんためられる。また繰り返し使えるという性質で非常に便利なリチウムイオン電池ですが弱点もあります。
リチウムイオン電池は高温に弱い
このiPhoneに使われているリチウムイオン電池は、高温になると化学反応が強くなりすぎて、電池内部を破壊してしまうことがあります。こうなることで電池の持続時間に影響がでてきます。さらに電池内部で使われている電解液は熱に弱く劣化します。
この化学反応が強くなりすぎることと、電解液が劣化することに直接的な関係はありませんが、化学反応が強くなることで内部温度が上がり、外気温との相乗効果で電解液が劣化していきいます。
高温になり劣化したバッテリーを使い続ける危険性
バッテリーが劣化する過程で電解液が化学的に分解され、ガス(酸素や炭酸ガスなど)が発生することがあります。このガスがバッテリーを膨張させる原因になっています。また、バッテリーが変形することで、内部の端子が他の端子と接触することで大量の熱が発生し、その熱がさらに科学変化を加速させ高熱が発生し発火の原因となります。
iPhoneが高温になりやすい環境
外気温が高い夏場、気をつけてiPhoneを使っていても温度が上がりやすい状況にありますが、使用環境によっては、さらに温度があがりバッテリーに負荷がかかるようになります。前段で説明した電解液の分解が始まる温度は通常60℃から70℃となっています。
車内にiPhoneを放置する
夏場の車の中は、酷暑で日々35℃を超えるような年だと車内温度は1時間で65℃から70℃になると言われています。ちなみにiPhoneで表示される高温注意の警告は内部温度が45℃から50℃になると表示されると言われています。
屋外での長時間使用
外気温が高い屋外でiPhoneを使い続けることでも内部温度は上昇します。具体的な温度上昇については、どういう使い方をしているかによりますが、特に温度が上がりやすいのは動画撮影・ゲーム・GPSを使ったナビゲーションです。
場合によってはiPhoneの内部温度が50℃以上になることもあります。この50℃という温度はiPhoneが内部の保護のため、機能制限が始まる温度となります。
布団などの寝具内での充電
寝る際に充電しながら動画を観たりして、そのまま寝る方も多いかと思います。しかし布団や枕の上でiPhoneを充電するとiPhoneがスムーズに放熱できなくなり内部温度の上昇につながります。この場合も悪い条件が揃うとiPhoneの内部温度が50℃に達することがあるといわれています。
寝ている間に充電をする場合はテーブルの上など放熱性が高い場所で充電をするようにしましょう。
iPhoneの内部保護機能とその限界
iPhoneには、内部温度が一定以上になるとバッテリーやiPhoneを保護するために、自動的に動作を制限する保護機能が備わっています。たとえば、iPhoneが高温になると、充電が一時停止されたり、画面の明るさが自動で暗くなったり、CPUのパフォーマンスが抑えられることがあります。これらの機能は、iPhoneが過熱によるダメージを受けるのを防ぐために重要な役割を果たします。
しかし、こうした保護機能にも限界があります。高温状態が長時間続くと、保護機能だけでは十分に対応しきれず、バッテリーや内部パーツにダメージが蓄積するリスクが上がります。リチウムイオンバッテリーは、特に高温に弱く、過熱が続くことでバッテリーの劣化が加速します。これにより、バッテリーの持ちが悪くなったり、最悪の場合、バッテリーが膨張するなどの物理的な故障が発生することもあります。
バッテリー劣化を防ぐための具体的な対策は?
夏場にiPhoneのバッテリー劣化を防ぐための具体的な対策を以下にまとめます。
1.直射日光を避ける
特に夏場はiPhoneを直射日光があたる場所に放置したり長時間使用しすることでiPhoneが急激に熱くなり、バッテリーに負担がかかり過ぎますので、なるべく日陰で涼しい場所で保管したり使用するようにしてください。
2.過充電を避ける
充電をやり過ぎない、車やバイクでの移動の際にナビを常に起動しながら同時に充電をされている方もいらっしゃいますが、iPhoneに負担がかかりバッテリーの劣化にも繋がります。なのでもしナビを使用する際にはあらかじめ充電をした状態で使用し、充電しながらの使用を避けるだけでもバッテリーへの負担が減ります。
3.アプリ機能の見直し
常にアプリが機能してる状態になっている方は不要なアプリや機能をオフにすることで、バッテリーの消費や発熱を抑えることができます。
こちらの対策を実践するだけでも、バッテリーへの負担が抑えられますので、劣化を最小限に抑えて長持ちさせることに繋がります。
ユーザーが注意すべきこととよくある誤解
高温環境下でのiPhoneバッテリー管理には、いくつかの誤解があります。例えば、iPhoneが熱くなり過ぎると「iPhoneを冷蔵庫で冷やすこと」改善されると考える人もいますが、これは危険です。急速に温度を下げると、iPhone内部に結露が発生し、電子部品にダメージを与えるリスクがあります。なのでiPhoneが熱くなり過ぎたら涼しい場所に移して自然に冷やすようにしてください。
また、「バッテリーを完全に使い切ることが良い」という誤解もありますが、リチウムイオンバッテリーにはメモリー効果がないため、完全放電の必要はありません。むしろ、過放電することで劣化を早める可能性があるため、理想的には20〜80%の間で充電を保つのが良いかと思います。誤解して使用しているとiPhoneに負担がかかることもありますので正しい知識を提供できたらと思います。
iPhone修理のプロが教えるバッテリー点検の必要性
iPhone修理店では夏場にバッテリー交換が増えます。原因は高温環境での使用で劣化してしまいバッテリーの減りが速くなったり、バッテリーが膨張したり、突然のシャットダウンを引き起こしてたりしてしまいiPhone修理店に持ち込まれます。
そのため、夏を迎える前にバッテリーのメンテナンスを行うことをおすすめ致します。バッテリーの交換時期の目安としては、バッテリーの最大容量が80%を下回ったり、充電の持ちが悪く頻繁に充電が必要になる場合です。iPhoneの「バッテリーの状態」機能を活用し、劣化が進んでないかを定期的にチェックすることも大切です。
定期的なメンテナンスや早めのバッテリー交換は、iPhoneの機能を維持するだけでなく、夏場の故障リスクを軽減し、長期間にわたって快適に使用できるようにするための最良の対策です。
高温によるiPhoneの予期せぬシャットダウンとその対策
夏場の高温環境では、iPhoneが過熱し、自動的にシャットダウンすることがあります。これは、iPhoneの内部温度が安全な範囲を超えた場合に、バッテリーや内部のパーツを保護するために設計された仕組みです。例えば、直射日光の下で長時間使用したり、車内に放置することで、iPhoneの温度が危険なレベルに達することがあります。
もしシャットダウンが頻繁に起こる場合はiPhoneのバッテリー劣化が原因である可能性もあるため、「バッテリーの状態」を確認し、劣化している場合は早めのバッテリー交換を検討するのが良いでしょう。定期的なメンテナンスを行うことで、iPhoneが安全に動作し、夏場のトラブルを未然に防ぐことができます。
iPhone修理店が教える!暑い夏を乗り切るバッテリー劣化対策 まとめ
iPhoneが高熱にさらされる状態でのメリットは一切ありません。それどころか修理や買い替えなどで高額の出費になることもあります。当店でのバッテリー交換で済むなら3000円〜でバッテリー交換ができますが、バッテリーが膨らんで画面が割れる、基板が故障するなどの症状まで出てしまうと数万円の出費になることも珍しくありません。
日々のiPhoneの使い方や充電の仕方に少し気をつけるだけで、出費を抑えることができますので、iPhoneの温度には、十分に注意して楽しいiPhoneライフを実現させましょう。
iPhoneのバッテリーが劣化して修理が必要になった場合は当店にご相談ください。
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